アンティークジュエリー その2
靴を開けると…そこには、ママと小さな子ども達。1900年にイギリスで作られた金のブレスレットのチャームです。
ペン先と比べて、その大きさをわかって頂けますか?
実物はこんなに小さいのです。なのでママと子ども達が、いかに小さく精巧な作りであるか。しかも靴底には仕掛けがある。製作した職人さんの根気と、これを注文した人のセンスに本当に驚かされます。
実は、このチャームには他に2つのチャームが存在しました。
教会の中に新郎新婦が立っている。もうひとつは新居を建てた場面。そして3つ目がこれです。女性が結婚→新居を建設→子どもが誕生。結婚・新居・出産・そんな女性の節目節目をチャームで作ったのです。おめでたいことがある度に発注したのかな?きっと幸せをブレスレットにぶらさげることで、感じとっていたのではないでしょうか。
一世紀以上前の一人の女性の人生が、この小さなチャームから伝わって来るようです。この女性、よほどの貴族の令嬢か?夫からすごく大切にされていた貞淑な妻か?いやいや、夫の浮気に激怒して腹いせに作らせたか?それとも、3個のチャームはそれぞれ違う男から貢がせた妖艶なマダムか。。。
小さなチャームから、そんな妄想が果てしなく膨らんできます。
先日こうやって、アンティークジュエリーをゆっくり見る機会がありました。
その時に一昨年、日本のジュエリー界の重鎮 山口遼先生にシバタにお越しいただいて、アンティークの貴重なレクチャーを受けたことを思い出しました。やはり少しでも知識を持って見ると、現代に存在するアンティークジュエリーの素晴らしさに感動致します。
ジュエリーは、日々の生活には何の役にもたちません。病気を治すことも、空腹を満たすことも。ですが、何百年を経ても人を感動させるパワーを持っています。ジュエリーを、贅沢なものとか、嗜好品とか、見せびらかしのアイテムとか。ネガティブな言葉で語られることが多いです。ですが、それは絵画や音楽と同じように芸術であり、日々を幸せにするものと私は思っています。