真珠のご紹介 芥子珠
先日、螺鈿のことを書いたブログに載せた写真。
葉っぱを形どった螺鈿の上に乗っている真珠は、芥子の真珠と書きました。
芥子の真珠…螺鈿のブログではスルーしてしまったので、本日は芥子の話を書いていきます。
昨夜遅くに『ブラタモリ伊勢志摩編』の再放送をしていました。とっても分かりやすく真珠の説明をしていて、思わず見入ってしまいました。
やはり志摩と言えば真珠。そして御木本幸吉さんです。言うまでもなく幸吉さんが、世界で最初に真珠の養殖に成功しました。日本の海が養殖の条件に適していたこともあり、アコヤ真珠の養殖は日本の産業の代名詞的な一つになったのです。そして幸吉さんが願った通り、養殖のおかげで今では多くの女性が真珠のネックレスを所持するようになりました。
では養殖が今のように一般的ではない時代。真珠はどんな感じだったのでしょうか。
中世の頃は、真珠はダイヤモンドより高価に取引をされていました。つまり、真珠は海の中にある天然のもののみ。何度となく海に潜り貝を拾い、あるいは網にひっかかる。そんな感じで、貝から真珠を採りだしていました。貝の中からまん丸な珠が出れば!それは、とってもとっても価値ある真珠。それらを集めてネックレスを組んだり、王冠に付ける。書くと簡単そうですが…珠の形や大きさの揃った珠を集めることは、どれだけの労力が必要だったのか。ちょっと想像がつきません。だから…例えば中世を描いた『エリザベス』とか『ビクトリア女王』の映画の中で、真珠のジュエリーを見ると「さすがは大英帝国のクィーン」。。。権力をヒシヒシと私は感じてしまうのです。
養殖技術がなく、天然真珠しかなかった時代は、まん丸でない形の真珠は価値のないものとして扱われていました。そんなデコボコのある真珠をバロックパールと呼びます。バロックはポルトガル語で「歪んだ」を意味します。今では、変形した真珠の総称として使われるようになりました。
芥子の真珠もデコボコした形をしています。ですがケシパールをバロックパールとは呼びません。
ケシパールは養殖されたものでなく、真珠の貝(アコヤ・白蝶・黒蝶など)に、たまたま砂や砂利、虫などの異物に貝が真珠層を巻きつけて出来た珠。つまり核のない天然の珠です。養殖真珠の浜揚げの際、副産物的に海から揚げられます。たくさんの偶然の重なった産物なのです。
養殖真珠に比べると、ケシパールは真珠層も厚く光沢もあり、汗や酸にも強い。なんだか野生児的な真珠みたいにも感じますね。